space url
space
sub00
sub02
sub04
sub05
sub06
sub01
sub07
space
space
space
space
space
img Erika
img Shiro
img Kiriha img Kanade
img Haruna
img Dummy
img
img Kohei
Iori
img Seichiro
img Tsukasa
img Unknown img Character Interrelation
img
img Unknown img Unknown img Unknown img Unknown img Unknown img Dummy
space
space
01
02
img Sample Voice01
img
img
img Sample Voice02
img
img
img Sample Voice03
img
img
主人公のクラスメート。教室では常に一人で過ごしているが、それを寂しがっている様子はない。たまに主人公が話しかけても、必要最低限の返事ですまされてしまう。
space
容姿・プロポーション共に抜群。
space
興味があることにしか労力を割かず、つまらないと思った教科はいつでも赤点ギリギリ。ただし数学系科目では驚異的な能力を発揮し、常に学年1位。総合成績トップの瑛里華にとっては目の上のタンコブ。本人はまったく気にしていないようだが。
04
space
05
img img img
space

もう少し我慢強く接してみよう。
そう思って、孝平は機嫌を損ねた彼女を見た。
space
開いた窓から吹き込む風に、長い黒髪が揺れていた。
サイドに流れる髪の片側に赤い紐が結ばれている。
「ふう」
ナイフで切り取ったような薄い口元から、吐息が聞こえた。
物憂げな表情で外を見つめている。
優れた容姿を持つ彼女――紅瀬桐葉がそんな顔をしていると、とても絵になる。
たとえ、エプロンに三角巾姿だったとしても。
「おかず係。お前にこの意味が分かるか」
苛立ちを我慢強く押さえた声が孝平の口から発せられた。
桐葉は興味なさそうに窓の外を見つめている。
「陽菜とへーじがご飯と味噌汁。俺とお前がおかず。分かるか」
孝平はボールの中で微塵切りにされた玉葱と挽き肉を混ぜながら言った。
頬には玉葱のカスがついている。
桐葉は窓の外から視線を外し、目を細めて孝平を見た。
「涙の跡、みっともないわよ」
「仕方ないだろ文句は玉葱に言え」
「押すように切るからよ、包丁を引くようにと言ったのに」
桐葉はやれやれ、と小さく肩を竦めた。
「お前の役目は指摘じゃなくて実践だろ、いいから一品作れ」
「なぜ?」
孝平は一瞬大きく口を開きかけたが、我慢するように声を押し殺した。
「家庭科実習だからだ。分かるか」
「『分かるか』って貴方の新しい口癖?」
「お前がずっと『意味が分からないわ』って顔してるから親切丁寧に付け足してるんだ」
「紳士なのね」
孝平は耐えるように目を閉じた。
ボールの中の肉をかき混ぜる手が激しくなっていた。
「よし、わかった」
孝平は急に笑顔になって頷いた。
「俺が悪かった」
孝平の態度の急変に、桐葉はいぶかしげな表情をする。
「紅瀬は料理なんかしたことないんだよな。だから恥をかきたくないんだろ」
「まさか」
「いや、皆まで言うな。俺がお前の分も作ってやる。だから大人しく待ってろ」
孝平はボールを置くために桐葉に背を向けた。
そのまま、まぜた食材を丸い形に整え始める。
「…………」
桐葉はフライパンをじっと見つめた。
「ふう」
ゆっくりと調理台に向かう。
孝平の隣へと。
「どうした?」
「本当の料理がどういうものかを教えてあげないと、可哀想だと思って」
「誰がだ」
「支倉孝平という名の無知なる生物が」
「まだ俺が遭遇していない料理でも作ってくれんのか?」
「まさか。貴方に教えるのはシンプルで美味しい物を作ること」
桐葉は片手で卵を割り、しなやかな手つきでかき混ぜる。
「手馴れてるな」
驚く孝平の声に、桐葉は小さく鼻を鳴らす。
それが照れ隠しだと孝平は気づかない。
熱したフライパンに溶けたバター。
その上から卵が流れる。
香ばしい匂いと、卵が焼ける音が広がった。
孝平がごくり、と唾を飲んだ。
「うまそうだ」
「少しは理解できたかしら?」
桐葉は仕上げとばかりに調味料を手に取った。
space
img 「唐辛子なんか入れるのか」
桐葉は一味唐辛子の蓋を外す。
「隠し味って知ってる?」
「なるほど」
桐葉はなぜか中蓋も外した。
そしてフライパンの上で、上下の向きを逆にする。
中身の全てが自由落下を開始。
「うおおおおおおおおおおっ!?」
一味唐辛子が、卵の中へ吸い込まれていった。
「何してんのお前!?」
「まさか料理の定義から説明しないといけないのかしら?」
桐葉はそう言いながら、二本目の一味唐辛子を投下した。
space
机に並ぶ歪なハンバーグ。
その隣には真っ赤な物体。
「確かに初めてみる料理だ」
孝平は呟いた。
陽菜と司がじっと孝平を見つめている。
これは一体なんだ、と。
答えようもない。
オムレツよりは溶岩といったほうがまだ表現としては近いと思う。
「どうしたの、遠慮しなくてもいいわ」
桐葉は地獄の灼熱のような色あいのオムレツを箸で摘んだ。
三人の視線を浴びながら、桐葉は灼熱を口に含む。
咀嚼して、ゆっくりと嚥下。
「……ちょっと物足りないかしら」
「足りないっ!?」
桐葉は少し残念そうに頷く。
「意外と大丈夫なのか……?」
孝平は一カケラだけ口に含んでみた。
「……ぁひっ」
孝平の意識はそれから三時間ほど焼失した。
img
img
space
戻ります
space