STORY

あなたと一緒なら、きっと大丈夫────。 会ったことなんてないはずの人の、どこか懐かしいような声。 生まれてからずっと、それよりもっと前、ずっとずっと前から、空を見上げればそこにあって、 ネオンの街を、雪原を、さざ波が立つ海を、木々が生い茂る山を、 優しく、冷たく、静かに、明るく、朧に、照らしていた月。 歴史の教科書によると、そこに、大昔に渡った人たちが国を作ったらしい。 地球上のどこよりも遠いのに、見上げればそこにある王国。 そんな国から。 お姫さまが、 うちに、 ホームステイしに来るって言ったらどうする? どこか懐かしいような声で、会ったことなんてないはずの人が言う。 私には、あなたがいるわ────。

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